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第12回電気工事雑学講座

皆さんこんにちは!
Maister株式会社、更新担当の中西です。

 

~日本の電力使用量~

ということで、ここでは、「日本の電力使用量」について、少し専門的に、でも日常と結びつけながら深掘りしていきたいと思います♪

「電気が足りない」「節電してください」――そんな言葉を耳にすることも多くなった近年。けれど、その背景にある日本全体の電力事情は、意外と知られていないのではないでしょうか?


◆ 日本の電力使用量:全体像

経済産業省資源エネルギー庁のデータによると、2022年度における日本の総電力消費量は約9,400億kWh(キロワット時)。これは世界で第5位の電力消費大国にあたります(1位:中国、2位:アメリカ、3位:インド、4位:ロシア)。

▶ 主な用途別内訳(2022年度)

分野 使用割合 主な用途
産業部門 約42% 製造業(鉄鋼、化学、機械、自動車など)
業務部門 約28% オフィスビル、商業施設、学校、病院など
家庭部門 約27% エアコン、照明、冷蔵庫、テレビ、調理機器
運輸部門 約3% 鉄道、電気自動車など

意外に思われるかもしれませんが、家庭が全体の4分の1以上を占めているというのは、日本の住宅環境(電化が進んだ生活)を象徴しています。


◆ 季節による消費の変化

日本では、季節によって電力消費のピークが大きく異なります。特に夏と冬に集中するのが特徴です。

  • 🌞 夏のピーク(7〜8月):冷房の使用による消費増加

  • ❄️ 冬のピーク(12〜2月):暖房や電気ストーブなどの電力需要増

2022年の統計では、夏のピーク電力は約1億5,000万kWにも達し、地域によっては電力逼迫警報が発令されました。


◆ 東日本大震災後の変化と節電の定着

2011年の東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故をきっかけに、日本の電力供給構造と需要の意識は大きく変わりました。

  • 原子力発電の停止により、一時的に電力供給量が減少

  • 節電の呼びかけが広がり、家庭・企業ともに電力使用量が一時的に減少

  • 太陽光や風力などの再生可能エネルギー導入が急速に拡大

その結果、ピーク時電力の抑制(デマンドレスポンス)や、家庭の電力使用の見える化(スマートメーター導入)など、持続可能な電力利用の意識が社会に根づきつつあります。


◆ 地域差と電力会社の役割

日本は、東京電力、関西電力、中部電力などの地域電力会社を中心とした10地域別の電力供給エリアに分かれており、電力使用量も地域によって特徴があります。

  • 都市部(東京・大阪など):家庭・業務の電力需要が大

  • 工業地帯(中部・関西・中国地方):産業部門の需要が中心

  • 北海道・東北:冬季の暖房による電力消費が高い傾向

さらに、再生可能エネルギー導入率にも差があり、九州・東北地方では太陽光・風力の比率が高まっています。


◆ 今後の課題と展望

◉ 1. 再生可能エネルギーとのバランス

太陽光や風力は、天候に左右される「変動電源」です。これらを安定的に供給するためには、蓄電池・スマートグリッド・需給調整技術が不可欠です。

電力会社とIT企業が連携し、AIによる需要予測や需給自動調整の開発も進んでいます。

◉ 2. 電力インフラの老朽化

送電線や変電所の老朽化による送電ロス(約5%)や、災害時の停電リスクへの対策も喫緊の課題です。

  • 地中化(電線を地中に埋める)

  • 地域分散型発電(マイクログリッドの導入)

といった、レジリエンスの高いインフラ整備が求められています。

◉ 3. 一人ひとりの意識変化

家庭の電力使用量は、日々の行動によって大きく変わります。

  • 待機電力のカット

  • LED照明への切り替え

  • エアコンの適正使用

  • グリーン電力プランへの契約変更

こうした小さな選択が、電力需要全体を変える力になるのです。


◆ おわりに──電気は「社会の鏡」

日本の電力使用量の変化を見ると、それは単なる数字ではなく、社会の価値観や技術の進歩、そして私たちの暮らしの在り方そのものを映し出していることが分かります。

⚡「どんなエネルギーを、どれだけ使い、どう未来につなげるか?」

この問いに向き合うことは、気候変動対策の一歩であり、より良い暮らしを築く第一歩でもあります。

 

 

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